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017-5_岡山県/備前刀剣王国☆その2 備前刀剣王国の本気と書いてマジと読む 〜福岡一文字と備中水田国重一派(1泊2日)

冬の刀剣祭も、佳境をむかえてまいりました。
どうも、さとりです。

前回、備前刀剣王国の展示に福岡一文字がなく。


keikenchi-map.hatenadiary.jp



後期も来ようと心に誓った私でございます。
朝から長船に行って、のんびり展示を見て、ついでに福岡の市跡とか見てくればいいかなーとか思っていたのですが。

なんと、私が岡山に行くタイミングで、素敵なイベントが勃発しまくりでしたので。
イベントに参加しつつ、備前刀剣王国後期展示に行くことにしました。


3月5日。
この日は備前長船刀剣博物館の学芸員でいらっしゃる植野哲也先生の「備前刀剣王国の底力」という講演会が、岡山県立図書館で開かれるとのことで、聞きに行ってきました。*1

岡山県立図書館、とても新しい建物でびっくりしました。
なんでも、図書館の集客率が、日本一なんだそうです。
広いし、これだけきれいな図書館なら、通いたくなるだろうなぁと思っていたら。
自動書庫があって、読みたい本を書庫が瞬時に届けてくれるんだそうな……
はーすごい。
岡山に住んでたら、本気で住めるな、ここ。

ま、今日は本を借りにきたわけではないので。
本棚スペースではなく、手前の階段から、会議室なんかがあるスペースへ。2階にある多目的ホールで講演会が行われます。


講演会は定員120名なのですが、満員御礼だったそうで。
でも、周りを見回したら、年輩のダンディーなおじさまばかり。審神者が多いかなぁと思っていたら、意外と若い女の子は全体の1割くらいでした(体感数なので、正確にはわかりませんが)。
でも、おじさまか若い女子しかいなかった……そらそーか。

「初心者向け刀の鑑賞ポイント」がテーマだと思っていたのですが。
意外と歴史メインだったので、私の資料あさり的には大変助かりました……
岡山での講演なので、あたりまえですが、聴衆は岡山の人がほとんど。*2 なので、備前刀の歴史中心でした。
そう、今長船でやってる「備前刀剣王国」に出ている刀の紹介。
あとは、博物館の取り組みの紹介。
短い時間なので仕方ないのですが、聞いて良かったポイントと、ものたりないポイントがありました。
たぶん、会場にいらっしゃった玄人なおじさま方には物足りなかったんじゃないかなぁ……



備前刀剣王国の底力!


刀剣王国の刀の紹介は、博物館に行った方が良いので省きますが。
簡単に聴講メモと、感想など書きたいと思います。

刀剣の姿は時代によって違う

とうらぶでも、兼さんこと和泉守兼定が「かっこよくてつよ〜い、最近流行りの刀」と言っていますが。
刀の姿というのは、時代によって流行の形というのがあるのだそうです。

流行の形を知っておけば、だいたいいつ頃作られた刀か、というのがわかるそうです。
もちろん流行の形というだけで、例外はありますが。


古代に作られた刀は、直刀です。
そして、平安時代に入ってくると、刀身が反ってくる。

南北朝の頃に作られた刀は、一番長くて幅広。*3
ただ、長くて幅広ということは当然重量があるということになり、溝を入れて軽量化されたんだそうです。
ただ、後期の頃は尋常の身幅、中むね(「むね」は「金へん」に「東」)に変わっているそう。

応仁の乱の頃に作られた刀は短い。
屋内で、片手で戦いやすいように、持ち手がすごく短いのだそうです。

そして、安土桃山時代に入ると、幅広で切っ先が広くなる。

江戸時代はじめ頃は、先に向かってしゅっとした形。

元禄繚乱頃は、派手で反りが優美な形。
時代が平和だったため、刀も実戦用と言うよりはステータス用としてもたれたから。

そして、幕末になると再び時代が戦の雰囲気になってきたので。
元と先が広い形になる。ストレートっぽく、怖い感じ。


だいたいざっくりと各時代に流行した形のお話がありましたが(走り書きしたメモなので、間違っていたらすみません)。
だいたい、歴史というのは、戦乱→平和→戦乱→平和……と交互に来るので、それにあわせて刀のデザインも変わっていったそうです。
戦乱の時代の刀は脅かさないといけないので、幅広で戦いに特化した感じ。
平和な時代の刀は美術品とは言わないけど、優美な感じや派手な感じ。
流行した刀の形も、交互になっているそうです。

今まで、武士は何を基準に刀を選んでいたのか、すごく疑問だったのですが。
現代人がデザインで服や車や携帯を選ぶみたいに、いつの時代もそれぞれの時代の流れにあった流行の形(デザイン)というのがあったということでしょうね。

先生のパワポの資料の写真(各時代の刀の形が並べられてた)がすごくよくわかりやすかったので、資料に載せていてほしかった……


(追記)
こちらの方が面白い考察をされてました。
こんな感じなんだろうなと思います!
http://katana-log.net/2016/03/23/84/

光忠は「ハデ」だった

今回のネタ的にも一番知りたかった、長船派の祖、光忠
やっぱり、先生的にも「ハデ」と評されておりました。
身幅が広めで、豪壮な姿。一文字とは異なった作風を打ち立てたというのは有名な話ですね。

織田信長光忠のコレクターというのも有名ですが。
25口*4 コレクションしたと「常山紀談」に載っているそうです。

なるほど、諸説あるとはいえ、この「常山紀談」的には、25口集めた、ってことなのですね。(前回の記事は記憶違いか!)
あー、やっぱり身幅が広めなのは、正解だったのね。よかった……(前回参照)
でもあれ、ハデなんだ……私的には、いろんな文献(というかWebの記事)から、シンプルイズベスト的なデザインかと思ってたんだけど。

現在の日本刀世界の課題と、博物館の役割について

日本刀が好きな愛刀家(コレクター)も高齢化していて。
せっかく貴重な刀を集めても、ご本人が亡くなってしまったら、家族が価値を理解せずに、蔵にしまい込んでしまう……ということが少なくないそうです。
刀は研がれないと、2〜3年ですぐにさびてしまうそうです。

一方、職人(刀剣製作家)も、60〜70代がメインで高齢化していて。
20代の職人さんはほぼいないんだそうです。
刀は工程が細分化していて、いろんな持ち場の職人さんが、それぞれ後継者不足に悩んでおられるのだそうです。

そして、仕事の方も、コレクターさんには「写し」の方が人気でよく売れるため、「写しもの」しか作っていないそうです。
刀のデザインは江戸後期〜明治はじめから進化していなくて。
このままでは、後の世に「平成の日本刀は『写し』しかない」と言われてしまう……

という現状を憂いた先生は、「日本刀を文化面から紹介」、「サブカルとのコラボ」など、興味を持ってもらえる展示に取り組んだそうです。

若い人に興味を持ってもらって。
古き良き刀剣を残してもらう。職人の技を残してもらう。
高齢化は日本刀業界だけの問題ではないと思いますが。きっかけの種をまくのは大事だと思います。

だから長船では、戦国BASARAや、エヴァンゲリオンの展示があったんですね。
特にエヴァンゲリオンは、職人さんがエヴァの世界を知り創作した刀を展示したんだそうです。
はー……すばらしいな。

質問コーナーがすごかった……

最後に、質問コーナーがあったのですが。
さすが刀剣王国岡山、質問内容がハンパない。いきなり飛び出した質問が、

「家が火事になったのですが、刀剣は復活できますか?」

というもの。
すげーな。持ってらっしゃるのかよ……! と思いました。*5

家が火事になっても、焼き直しによって、刃紋は戻るのだそうです。
刃紋は火事で焼けることによりなくなるのですが、それは一旦リセット状態になるだけで、きちんと焼き直せば刃紋が戻ってくるのだそうです。
先生が「最近話題になりましたね」と例に出した燭台切光忠は、蔵が火事になったことを恥ずかしがった水戸藩の皆様によって、行方不明にされてしまったのだとか……

ああ……よくわかりますよ、水戸藩の皆様……
失敗って、なかったことにしたくなりますもんね*6


あと、今年の夏の長船刀剣博物館は、まだ内緒ですが(笑)、幕末に関する展示だそうですよ。
文化と関連した展示がお得意のようですから、とても楽しみですね。

というわけで。

あっという間の2時間でした。
終わったあと、個別に先生に質問をしていたお姉さまがいらっしゃったりして。
岡山の人の本気を感じました(笑)

というか。
私も質問したかったんですけど、チキンすぎて無理でした……

図書館の企画ということで、関連蔵書の紹介や展示もあり、とてもおもしろかったです。
この後、閉館まで関連蔵書を読みあさっていたのは、私です……
おかげで、いろいろ情報も手に入ったしね……
(というか、小学5年生の語彙力でわかる資料がほしい……切実に)


私が今から、刀剣業界に弟子入り、というわけにはもちろんいきませんが。
弟子入りはできないながらも、私なりの、盛り上げ方があるのではないかと、思いました。
それはクラウドファンディングかもしれないし。
創作活動かもしれないし。
長船刀剣博物館に行くことかもしれない。
というか、取り急ぎはブログ記事アップして、長船をネタにした小説のプロットを練り直すこと……かな。*7


ということを、つらつら考えながら、岡山の夜はふけていったのでした。
翌日は、備中水田国重一派奉納刀研磨プロジェクト説明会に飛び入り参加してきますぜ!! っと!!!


★明日へ続く★

*1:ホントは日帰りの予定だったのが、泊まりになったのはこの講演会の予定が入ったからでもあります。まあでも、結果的に良かったんですけどね。

*2:といいながら、私は広島県人だし、Twitterでお見かけした他の県の方もいらっしゃいましたが(笑)

*3:兼光など。

*4:刀剣の数え方は「口」と書いて「ふり」と読むそうです

*5:後日Twitterにて、「岡山は作刀が盛んな土地柄、蔵を探せば刀剣がごろごろ出てくる家が結構ある」と読みました。さすがは備前刀剣王国。

*6:見に覚えがありすぎて明後日の方を向くさとり……

*7:3/24現在まだ終わっていません……残念!!